東京・春・音楽祭2021 リッカルド・ムーティ指揮東京春祭オーケストラ

東京・春・音楽祭2021 リッカルド・ムーティ指揮東京春祭オーケストラ

2021年4月23日(金)紀尾井ホールにて開催、東京・春・音楽祭2021 リッカルド・ムーティ指揮東京春祭オーケストラの公演記録とレビュー/コメントのアーカイブページです。

公演日(初日) 2021年4月23日(金)  19時00分開演
会場 紀尾井ホール
出演 指揮:リッカルド・ムーティ
管弦楽:東京春祭オーケストラ
演目 モーツァルト:交響曲第35番「ハフナー」
モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」  
参照サイト https://www.tokyo-harusai.com/program_info/2021_muti_conducts_tokyo-harusai-orchestra-23/

東京・春・音楽祭2021

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オイゲン(Eugen)

ムーティがこのコロナ禍来日しているということで、急遽紀尾井ホールへモーツァルトを聴きに行ってまいりましたが、ムーティ円熟のタクトに東京春祭オケが全身全霊で応える大名演となりました。ムーティは一昔前の演奏では、切れ味の鋭いスピード狂というイメージでしたが、近年のニューイヤーコンサートなどでは丸みを帯びたスケールの大きい巨匠風スタイルへと変貌を遂げた様子を示しているだけに、どのような演奏を繰り広げてくれるのかが楽しみでありました。
 第35番《ハフナー》は、のっけからレガート奏法の際立つソフトな演奏。指揮者ムーティの信念、こだわりが強弱や管楽器の音量バランスなどに反映されていました。伸びやかな歌の広がる第3楽章中間部では、ムーティと楽団員の絆がそのまま音になっているように感じられ、大変感銘を受けました。ムーティのためなら何でもする!というオケの強い意志の感じられるフィナーレもスリリングでした。
 第41番《ジュピター》では、繰り返しごと、そして楽章ごとにスケールが大きくなってゆく大名演。休符の緊張感が印象的だった第1楽章、静かな高揚が胸に迫る第2楽章、そして雄大で管楽器セクションの巧さの光る第3楽章を経て、第4楽章ではフーガの緻密な構築とともに音楽が極限まで大きくなってゆくプロセスが圧巻でした。相変わらずのレガート奏法に遅いテンポ、時流に流されることなくこの演奏スタイルを貫くムーティに脱帽です。ムーティのタクトのもと、オケがムーティの手足となっているのにはただただ驚くばかりで、ムーティの他人を巻き込む能力を窺えました。オケの楽団員たちの、ああ、これを演奏し終えたらムーティとはお別れなのだ、という名残惜し気な表情と、今この瞬間を楽しもうという意志が前面に出ていたように感じます。
 終演後は、ほぼ満員の会場が割れんばかりの大拍手、ムーティ、そして春祭オケの皆様もご満悦の様子で、ムーティは2度、カーテンコールに応えてくれました。今回、実演に接することのできた幸運をかみしめながら、ムーティ氏の再来日を首を長くして待ちたいと思います。

耳澄

当公演、ライブストリーミングにて視聴しました。
その視聴ゆえ、ホール全体の響きや雰囲気等は言及できませんが、特筆すべき音楽を聴けたので、その点のみ書き記しておこうと思います。

ムーティの音楽はヴェルディ「マクベス」における凄絶で重厚な演奏とは打って変わって、予想通りレガート重視、圭角柔らかく、管(特に金管とTimp)と弦のバランスも弦をやや前面に出した旧世代的モーツァルトでした。
私個人普段は「ロココの服を着たモーツァルト」的演奏を好まないので、正直に言うと当夜の演奏全体はやや隔靴掻痒の思いで聴いていたのですが、しかし殊41番「ジュピター」の2楽章に関しては、ムーティ美学によってこの特段優れたモーツァルトの筆が、「ロココ」を超えた蠱惑的な音楽として立ち上がっていて、これは大変な聴き物でした。
この2楽章だけでも視聴のお代を払う価値があったと思っています。

この一見温和で明朗なカンタービレに満ちた楽章は半音階による翳りや思いもよらない方向への転調による叫びなどナイーブな感情の揺らぎに満ちた音楽です。
ムーティはそれを最大限に引き出そうと、デュナーミクの対比や音色などを極端なまでに強調して描き通していて、彼の美学の最上の形が表れたように思えました。

例えば15〜16小節にかけてのVaとVcの半音階下降を深く色づける事の奥行きの音楽。
21小節のヘ長調からハ短調へ傾斜する鋭いアクセントとして木管に付されたsfpの強調。
32〜36小節にかけての16分音符3連符による細かい音への実に繊細な表情とフルートとの対話への注意。
そしてこの提示部を繰り返した際の今にも無音に帰すかのような最弱音。
あまりにも素晴らしい繊細極まる音楽だっただけに、今でもスコアを見ながらこの箇所はどうだったと記憶を甦らすことができるほどですが、長くなりますのでここまでにしておきます。

PCのモニター越しで、かくも「美を喰む」ことできたことに驚いた音楽でした。

耳澄により、5 年間 前に最終更新されました

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