ダニエル・バレンボイム ピアノ・リサイタル ~ベートーヴェン ピアノ・ソナタの系譜~◆第二夜/追加公演 後期三大ソナタ

ダニエル・バレンボイム ピアノ・リサイタル ~ベートーヴェン ピアノ・ソナタの系譜~◆第二夜/追加公演 後期三大ソナタ

2021年6月4日(金)サントリーホールにて開催、ダニエル・バレンボイム ピアノ・リサイタル ~ベートーヴェン ピアノ・ソナタの系譜~◆第二夜/追加公演 後期三大ソナタの公演記録とレビュー/コメントのアーカイブページです。

公演日(初日) 2021年6月4日(金) 19時00分開演
会場 サントリーホール
出演 ピアノ:ダニエル・バレンボイム
演目 ベートーヴェン:
  ピアノ・ソナタ第30番 ホ長調 Op. 109
  ピアノ・ソナタ第31番 変イ長調 Op. 110
  ピアノ・ソナタ第32番 ハ短調 Op. 111
参照サイト
ダニエル・バレンボイム ピアノ・リサイタル~ベートーヴェン ピアノ・ソナタの系譜~現代クラシック界を代表する世界最高の巨匠、16年ぶりの来日リサイタル!5度のピ…
tempoprimo.co.jp

https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/schedule/detail/20210604_M_3.html

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耳澄

6月4日(金)19:00開演の演奏会を聴いてきました。

久しぶりに満員となったサントリーホールを眺めていると、やおら照明が落ちてバレンボイムは登場して舞台の四方をひとつひとつ丁寧に向き合っては礼をしたり両手を上げて万雷の拍手に応え始めました。
以前もこうした習慣だったのかはわかりませんが、その姿には心動かされるものがあったことは事実で演奏前から聴衆の拍手もいや増すばかり。

その興奮した拍手が止むや否や弾かれる30番冒頭のさりげなさ!
この夜のすべての演奏に言えることは力みがなく軽妙洒脱な味わいで、かつ柔らかさと温かみを湛えた弱音の美しいニュアンスも相まって、重厚なイメージが漂う晩年3作品のイメージを良い意味で裏切った印象がありました。
例えば32番1楽章も決して謹厳な重々しさに支配されることがなく、31番3楽章の凱歌フーガも声高に強い光を放っていたわけでもありません。
しかし当夜の軽みを伴った融通さと多彩な弱音によって、30&32番の変奏曲の表情は実によく際立ち、この日は変奏曲に始まり変奏曲に終わった感がありました。
この晩年3作品が三部作的構造にあるのではとさえ思ったほどです。

30番の3楽章主題「心の底から感情を持って」の特に第2節の気持ち溜めを伴った余情の美しさ。
第6変奏のまるで「田園交響曲」のように遠くの雷鳴とも言える左手の唸りが次第に彼方へ去っていき、ほんのわずかな絶妙な間を以て入る静謐な主題回帰!
そしてこの心の底から感情を持った情感は32番の2楽章アリエッタでも繰り広げられ、一層の洒脱さと美しい弱音によってこの表情豊かな変奏曲が彩られていきます。

こうしてこの変奏曲の環は、まるで人生の様々な情景や表情を見せてくれたような気がしました。
32番のアリエッタ最後に至っては、ここでもさりげなく終焉を迎えるようでいて、まるでもはや誰もいない空間・世界の中でバレンボイムただ一人が私に語りかけているような、そんな密やかな私的な呟きを掴み取れたような気がしました。

個人的にもこの夜は様々な思いが去来したのですが、
その呟きを確かに受け取れた至福、
それが私のこれからの道を明るく照らしてくれたように思いました。

耳澄により、3 年間 前に最終更新されました

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