都響スペシャル2021(1/13)

都響スペシャル2021(1/13)

2021年1月13日(水)サントリーホールにて開催、都響スペシャル2021(1/13)の公演記録とレビュー/コメントのアーカイブページです。

公演日(初日) 2021年1月13日(水)  19時00分開演
会場 サントリーホール
出演 指揮:エリアフ・インバル
管弦楽:東京都交響楽団
演目 ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」より「前奏曲と愛の死」
ブルックナー:交響曲第3番 ニ短調 WAB103「ワーグナー」(ノヴァーク:1873年初稿版)  
参照サイト https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/schedule/detail/20210113_M_6.html

都響スペシャル2021(1/13)

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耳澄(みみすまし)

愛の陶酔と実験的パッチワークミュージックを16型の重量級で思う存分堪能しました。
トリスタンは重厚なテンポと歌で文字通り昇天。
対してブルックナー3番初稿は想像以上に速いテンポにエッジの効いた隈取りで、野心的かつワーグナー へのリスペクトに満ちた音楽を描き通しインバルの自家薬籠中の音楽を聴いた感じがしました。

存分に歌うトリスタン前奏曲の中で意識的に大きめな振りで「死の動機」に鈍く打ち込むホルンの属7の軋みを指示していたのは印象的でした。
そして愛の死冒頭のまるでベルベットのような艶やかな高弦の響きが重なる中で香り立つチェロの美しさ!

ブルックナー3番はいきなり冒頭のコントラバスから強いアクセントに速いテンポで有無を言わせずにインバルの土俵へ引き込まれていきます。
第1楽章前半の繰り返されるトランペットとホルンの主題応答の強調など40年前の録音と変わらない明確な構成を見せる一方で、展開部の主題反行形の強いアクセントなど新たな独自の視点も存分に開陳していて刺激的でした。
無論初稿を聴く楽しみはワーグナー の引用ですが、まず第1楽章のさりげない愛の死の引用の後に現れる眠りの動機のソット・ヴォーチェ!
そしてご存知第2楽章のタンホイザー、今宵は充実した金管で感慨ひとしお。
この箇所、2ndヴァイオリン前方プルトは原譜にあるトリルではなく1stヴァイオリンの難しいオブリガード弾いていました!
今日の快速テンポであればフィナーレの冗長な第2主題もあれよあれよ。一方でミニマル的な駆動や大胆なずらし等はこのテンポで聴くとより前衛的に感じるのが面白いです。
最後は恰幅良く1楽章主題回帰が充実した響きでホールに放たれ見事な終結。

ブルックナーは総じて速めのテンポによる凝縮した響きで固めた演奏で一気呵成の印象を残しましたが、その中に細かい表現としなやかフレージングがあり十分味わいを堪能できました。

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