ブゾーニの『史上最大のピアノ協奏曲』音楽史に刻まれたピアニズムの金字塔、待望の日本初演!

ブゾーニの『史上最大のピアノ協奏曲』音楽史に刻まれたピアニズムの金字塔、待望の日本初演!

2001年4月22日(日)東京オペラシティコンサートホールにて開催、ブゾーニの『史上最大のピアノ協奏曲』音楽史に刻まれたピアニズムの金字塔、待望の日本初演!の公演記録とレビュー/コメントのアーカイブページです。

公演日(初日) 2001年4月22日(日) 14時00分開演
会場 東京オペラシティコンサートホール
出演 指揮:沼尻竜典
ピアノ:マルカンドレ・アムラン
男声合唱:藤原歌劇団合唱部
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
演目 モーツァルト(ブゾーニ編):歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲
お話・解説〜長木誠司(音楽評論家)
ブゾーニ:ピアノ協奏曲 ハ長調(男声合唱付き) op.39

この公演に行きましたか?

レビュー以外のコメントも大歓迎!緑のアイコンをクリックしてお寄せください➤
0
コメントをどうぞx

0 0 評価
この公演の評価
ウォッチする
通知
guest
レビューを投稿する前に確認してほしいことです

1 レビュー
古い順
新しい順 最高評価
コメント数
すべて表示
すぎだま🐔クラレビの中の人

ドン・ジョバンニはいいとして、ピアノコンチェルトが今日の目玉中の目玉。75分もあって最終章は合唱つき。プログラムによると、こういった形のコンチェルトは他にもあるので、唯一って訳ではないけど、「楽譜から体験される音楽」で実際には演奏機会はないそうだ。それを得意としている、現代最高のピアニスト-手法としての-アムランが、オケを合併後の東フィルを、で、日本初演で見所聴き所満載の演奏会で、胸わくわくです。

今回の席は、2階左側のバルコニーで、ファーストヴァイオリンの真後ろ。ってことはピアニストの指の動きがよくわかるところ。欲を言えばもう少し後ろのほうがいい感じ。
会場は満席。パイプオルガンの横には収録の怪しき音響エンジニアらしき人たちとテレビカメラ。あとで知ったんだけど、後日、NHK-FMと毎日放送で放送があるそうです。

まず、ドン・ジョヴァンニ。
聴いてると、オリジナルとまったく同じ。どこが違うのかな?と思っていると、最後のほうがなんか変。付け足したのかな。で、終わり方も違う。ん?と不思議なフィナーレ。終曲しても大喝采ってことなく、他の聴衆も不思議に思ったのでしょう。

その後、長木誠司氏のお話。休憩の後かと思ってたら、休憩なしで。これから75分、座りっぱなしか。
ブゾーニに明るい彼の話はなかなか面白く、説明ではドン・ジョヴァンニは、作曲の頃、オペラ最終の曲がロマン主義の台頭による考え方によって、ほとんどの演奏会でカットされていたらしい。
しかしながら、モーツァルトを深く研究していたブゾーニの正しい理解としては、その最後の部分が重要であるから演奏されるべきである。ということで、序曲の中にその部分を付け足したのだ、と。
つまり「276小節まではオリジナルとまったく同じで、277小節がニ長調の主和音で終わり、続く部分からブゾーニの「増補」。冒頭の10小節が繰り返され、第一幕直前の音楽を真似した移行部が4小節、その後、プレストとしてオペラ最終部分の「編曲」が93小節付加されて終わる」。残念なことにおれはオペラ全曲を知らないのでよくわからないが、結局これは、序曲だけでドン・ジョヴァンニ全体が要約された、っていうのかな。

次のコンチェルトの説明もあったけど、聞いてる人はちょっとお話で飽き気味でした。

アムランさん登場。日本初演となるコンチェルトの始まりです。合唱団もパイプオルガン下の一列の席にきちんと並んで入場。

75分もあるのでいちいちコメントはできませんので、掻い摘んで。
アムランさん、絶好調のようで、超絶技法と呼ばれる部分もなんなくこなして、迫力、緊張感とも十分でした。
オケのほうは、以前オーチャードで聴いた東フィルとはまったく印象が異なり、特に管楽器、そのなかでもトップのフルートが抜きん出て上手。力強いし正確。ピアノとのあわせもハーモニーももちろんで、ぶるぶるきちゃいました。

全部で五楽章あるんだけど、はっきりいって構成としてはきちんとしていない。ブゾーニは当時、アイディアとして、「北でも南でもない曲」を思い描いて書いたそうで、-ドイツ系の「北」とイタリア系の「南」-、とどのつまりはごった煮状態。基本的にはドイツ系の重厚感たっぷりなんだけも、二楽章と四楽章はイタリア的、最終楽章は合唱でアラーへの賛美、と気持ち的にはやはり生まれであるイタリアを打ち出したかったのだろうね。

で、どうなの?、ってことなんだけど、たいへん良かった。
実を言うと、予習として聴いていたCDで最終楽章の合唱の印象がぼんやりしていて、
ちゃちい曲!
と、やっぱ復活とか第九にはかなわないよね、と侮っていました。
それが今日、ブゾーニにゴメンナサイしないといけない。
まず、藤原歌劇団の合唱がとてもよかったのだ。まさに男声合唱が爆発してしまう。ピアノはこの楽章では控えめで、歌のときはほとんど伴奏状態。でもエンディングは勝利に導いていく風で、ぞくぞくする充実感なのだ。

もうひとつ、CDネタなんだけど、終わり方が実にあっさりしてて、ぜんぜんしつこくなく、くどくどしていない。ベートーヴェンの運命みたいじゃない。えええ?と拍子抜けさせられる。でも今日は違った。拍子抜けなんてもっての外で、大円団の充実フィナーレ。

拍手は鳴り止まず、ブラヴォーも飛び出し、会場は興奮の坩堝で、アムランさんは6回もステージに引っ張り出されるほど。でも一番興奮していたのは、指揮の沼尻さんだったような気が。狂ったようにアムランさんに拍手してたし、顔が崩れてたっけ。

会場で、予習に聴いていたCDが売られてて、飛ぶように売れていたけど、聴いてがっかりしないように。ずばり言ってCDではこの曲のすばらしさは感じないし、どこか霞にかかったような演奏だからね。

カテゴリー

ジャンル

1
0
レビューを書いてみませんか?登録は不要です。x