群馬交響楽団第375回定期演奏会

2000年7月22日(土)群馬音楽センターにて開催、群馬交響楽団第375回定期演奏会の公演記録とレビュー/コメントのアーカイブページです。

公演日(初日) 2000年7月22日(土)
会場 群馬音楽センター
出演 指揮:アレキサンダー・ドレチャール
ピアノ:伊藤恵
管弦楽:群馬交響楽団
演目 ワーグナー:歌劇「リエンツィ」序曲
モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番ニ短調 K.466
ドヴォルザーク:交響曲第6番ニ長調 作品60 B.112

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すぎだま🐔クラレビの中の人

ドヴォルジャークの交響曲第6番を聴きに、群馬県は高崎にいってきた。私にとっても群響にとってもはじめてのドレチャールさんはかなり期待。何故かと言うと、チェコ出身の指揮者のドヴォルジャークものですもの。びんびんの民族舞踊的要素の入った6番の三楽章なんかきっと、ぶるぶるくるだろうし。ピアノの伊藤恵さんの、「知性と感性の二語の名バランスに支えられた構成力あふれる」演奏で、20番(これは短調だ)の憂いと激情との融合を絶対に弾き遂げてくれると思うから。

実は今回はじめての高崎。さて、群馬音楽ホールはいずこにありや、ってな感じで、西口からまっすぐ城址公園に伸びる道をてくてく歩いていきました。汗だくになってぐるぐる歩き回ったら、偶然にホール正面玄関着。
「え?杉並公会堂と大差ないじゃん」
なくらいの古ぼけた、まさに公会堂の雰囲気。
「本当にここが群響の常演ホールなのか?」

確かに群馬交響楽団は、今やNHK交響楽団に次ぐ古いオーケストラで、大層長い歴史を持っており、最近はめきめきと実力をつけたとの噂を聞くが、その名門オケのホールがまさか公会堂チックなとは。ちょっと不安になるが。

開場の6時ぴったりに着いてたので、どんな聴衆が集まるのか、と眺めていると、文字どおり老若男女。
カッターシャツにゴルフズボンの旦那様にしわになりにくいワンピースの奥様、ポロシャツやTシャツにカジュアルパンツの彼氏に少しおしゃれしてきましたな彼女。お腹のぽっこり出たTシャツのパパと小学生などほんとにいろいろな人がやって来ている。演奏会終了後に気付いたが、自転車に乗って来てる人も大勢で、
「ちょっとクラシックを聴きに行かない?」
といった雰囲気。当日自由席もあるところが、気軽に来れる秘密なのかも。

ホールに入ってまたビックリ。立派な設備。見た感じ多分オーケストラピットもあるはず。第9もやれるとのことなのでかなりの奥行きもある。緞帳もあったりして、
「リキはいってるなああ」
だが、シートがいけない。
布張りの、そう、古い映画館のような品祖過ぎるしろもの。大体足が組めない。三つのシートでひとつのセットになってるようで、座りなおしたりすると他の2席が動いちゃうし。

6時45分開演。ほぼ満席。前から10列目のやや左よりだったのでコンサートマスターの目線と同じくらいの高さ。2列目からもう階段状になっていて、2階席はないけど最後列はほぼ2階席といった感じで、アイマックスシアターの傾斜緩め版といった感じ。まずは、リエンツィ。

出だし直前の緊張の一瞬に、子供がしゃべり出して会場はややざわめき、ヴィオラ首席の外人さんが、
「ん?静かにちてね」
みたいに客席に向かって視線で訴えていたのには笑った。
トランペットのA音の3回のソロのあと、大音響で圧倒させるのだけれど、このホール、残響ゼロだ。困る。響かないリエンツィはリエンツィじゃない。
仕方ないので、オーチャードホールでもやったように、耳たぶをステージの方へ立たせて、肉体反響板を作ってみましてきいたらOKだったので、辛いけどずっとその姿勢で聴くことに。
それでもなんだか軽い演奏。今までこの曲の予習のCDは、ショルティ指揮のウィーンフィルでしたから(もう、ねちねちのコネコネな演奏)仕方ない。
チェロの音色がとてもチェロらしくきこえ、1回だけひっくり返ってしまったけれども、トランペットは上手でした。ドレチャールさんが興に乗ってくると、ガニ股前のめりで指揮台の上を動き回るのが印象的。
やや遅目なテンポで、あっさりしたリエンツィでありました。

続いて、20番。
伊藤恵さん、うますぎです。特に三楽章の大胆さには身を振るわせながらの拝聴となり、演奏後はお出ましねだりの拍手が4回もあって、それはそれは立派な演奏でした。
席から鍵盤と格闘するのが見えたのもよかった。

ドヴォ6。
いやはや、やられてしまいました。ウィーンフィル&チョン・ミョンフンのCDよりもかなり遅いテンポで始まったわけだけど、とにかく、
「まじめな音作りだなぁ」
と唸ってしまいました。群響にとって初の演奏だそうで、おまけに指揮者も初組み合わせ。それなのに第一楽章は遠慮がなくてぐいぐいと、長いコーダまで引っ張っていって華麗なクライマックス。滑らかな弦がとくによかった。
木管ソロがおいしい第二楽章は、確かにソロイストの腕はいいが、アンサンブルな面で少し紋切り型かも。
フリアント、という民族舞曲のひとつの名を楽譜に掲げる第三楽章は、これこそドヴォルジャーク!といった楽章。
もう小躍りしちゃいそうなうちに最終楽章で、上昇音階を多用した個所が多く、幸福感があふれきってる。元気で元気で、元気過ぎてヴァイオリンの高音域がすこし上擦った感もあったけど、これぞドヴォルジャーク!なフィナーレで締めくくられると、思わず、
「ブラボー!!」
と叫んでしまいました。
大きな拍手は止む事を知らず、6回もステージに引っ張り出されたドレチャールさん。最後は疲れ顔でした。

大満足大満足。こんなにまじめで真摯で、いやはや、東京交響楽団に続く、
「あなどれない」
でした。

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