読売日本交響楽団 SHINRYO Presents「第九」特別演奏会
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読売日本交響楽団 SHINRYO Presents「第九」特別演奏会

2021年12月22日(水)サントリーホールにて開催、読売日本交響楽団 SHINRYO Presents「第九」特別演奏会の公演記録とレビュー/コメントのアーカイブページです。

公演日(初日) 2021年12月22日(水)  19時00分開演
会場 サントリーホール
出演 指揮:ジョン・アクセルロッド
ソプラノ:中村恵理
アルト:藤木大地
テノール:小堀勇介
バス:妻屋秀和
合唱:新国立劇場合唱団(合唱指揮:冨平恭平)
オルガン:中田恵子
管弦楽:読売日本交響楽団
演目 J.S.バッハ:小フーガ ト短調 BWV578
J.S.バッハ:トッカータとフーガ ニ短調 BWV565
ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 作品125「合唱付き」  
参照サイト
読売日本交響楽団の公式サイト。公演プログラム、指揮者・楽団員リスト、マエストロからのメッセージ、会員募集、当日券情報など
yomikyo.or.jp

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さすらう若人

アクセルロッド/読響でベートーヴェン:交響曲第9番
代役の代役だが、アクセルロッドは京響まで行かないと聴けないと思っていたので個人的にはとても嬉しい機会。読響はこういうプレゼントを用意するのがうまいが、実際のところかなり当たった公演。
一言で述べれば、単なる師走行事に留まらない大変な力演。さすがは読響。
最近では珍しくなってきたロマン派的なテンポ設定。そのためか、ディクションが明確で「あぁ、バーンスタインの弟子なんだな」と所々で感じた(これはオケを手放している時の振り方にも同じ感想を抱いた)。しかし演奏が進むと、個々のディクションは明確だけれども、メロディーの集合は集合として捉えて描いている様子がうかがえた。そして、あのテンポでメロディーをなぞっていくためか、3楽章の甘美さは言い尽くし難く涙が溢れてきた。あのような3楽章はなかなか聴けないのではないだろうか。そして4楽章の歓喜の主題がコントラバスから提示される箇所では、メロディーが徐々に湧き上がり、そして次に繋がり次第にホールが歓喜に浸されていくことに落涙。何も特別なことはしていないのにもかかわらず。
奏者のなかではティンパニ:武藤さんの存在が目立った。1楽章の煽りは勿論だが、3楽章で案外ティンパニが活躍することを今回の実演で実感させられた。
ソリスト陣はソプラノ:中村恵理、アルト/カウンターテナー:藤木大地、テノール:小堀勇介、バス:妻屋秀和(バス)。直前までソリストが登場しない「演奏会形式オペラ」風。直前の登場で迫力の伴った存在感を示し、ビシッと決めてくれるのはさすが妻屋さんだ。
今回のソリスト陣は4人の歌唱の調和が取れ(勿論1人暴走するソリストもおらず)、総じてレベルの高さが際立った。なかでも今回印象的だったのは初めて聴いた小堀勇介さん。正直なところ、行進曲の箇所でソロを担うテノール歌手のなかには十分な声量を伴わない歌手もいるため不満を抱くことも少なくもない。しかし、小堀さんは若々しく朗々とした声質なおかつ伸びやかでしっかりと声が届く歌唱を披露した。今後も是非聴いてみたい、願わくばオペラで。余談だが、テノールといえば10月に《魔笛》でタミーノを歌った市川浩平さんも良かった。若い世代で少しずつ男声が台頭してきているのだろうか?
新国立劇場合唱団は少人数に絞られながらも文字通り少数精鋭。この曲でキーワードとなるいくつかの重要語(“Bruder”、“Alle Menschen”、“Millionen”、“ganzen” Welt”など)を強調し、曲が進むにつれホール全体にその力強い合唱が浸透していくかのよう。感動的な歌詞と歌唱で、4楽章に入ってからは涙がとまらなくなくなってしまった。もちろんこれが通常の人数なら更に迫力があるのだろうけれど。

前半のオルガン演奏は先日のBCJ《メサイア》に引き続き中田恵子さん。繊細なtrと伸縮性のある低音でバッハの《フーガト短調》と《トッカータとフーガ》。
サントリーのオルガンを単独で聴くのは初めてであった。

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