名古屋フィルハーモニー交響楽団  東京特別公演

名古屋フィルハーモニー交響楽団  東京特別公演

2021年3月14日(日)サントリーホールにて開催、名古屋フィルハーモニー交響楽団  東京特別公演の公演記録とレビュー/コメントのアーカイブページです。

公演日(初日) 2021年3月14日(日)  14時00分開演
会場 サントリーホール
出演 指揮:小泉和裕
管弦楽:名古屋フィルハーモニー交響楽団
演目 ブラームス:交響曲第4番 ホ短調 Op. 98
ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 Op. 68  

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オイゲン(Eugen)

首都圏ではめったにお目にかかれない名古屋フィルの公演、しかもブラームスの交響曲2曲ということで楽しみにしておりましたが、その演奏は予想のはるか上をゆくものでありました。
 まず交響曲第4番。第1楽章のため息のような冒頭一音から引き込まれました。しなやかで血の通った演奏に胸が熱くなりました。パートごとのメロディの受け渡しも実にナチュラルで、アンサンブルの妙を体感しました。第2楽章のホルンの活躍も印象的でしたが、後半、84小節目以降のクライマックスで、それまでの静的な音楽から立ち上がるように転換していくのが実に凛々しく、背筋が伸びました。第3楽章は前2楽章から一転して非常に筋肉質、ブラームスが交響曲に書いた唯一のスケルツォの醍醐味を存分に感じ取れました。フィナーレは33小節目以降のヴァイオリンのカンタービレが非常に心に染み入る場面でした。中間部のフルートをはじめとする管楽器の名人芸も名フィルの技量の高さを象徴するものでした。後半(129小節目以降)、込み上げてくる熱気がサントリーホールを満たし、演奏者、聴衆が一体となって興奮に至りました。
 後半の第1番。第1楽章の序奏はほどほどの速さで比較的抑制されていましたが、主部に入るとカチッとスイッチが切り替わるように速いテンポに。しかし、その速さも強引なものではなく、川の流れのような滑らかさのあるものでした。フレーズの一つ一つに生命力が宿っており、まさに自然体の理想のブラームスといえましょう。展開部(197小節以降)の木管の浮き立たせ方が殊に印象的で、第4番同様木管の巧さが光る場面でありました。第2楽章も流麗で穏やかな心温まる音楽。開演前にも耳にし、今回の成功を予感したオーボエ・ソロも実にほれぼれしました。荒井コンマスによるソロが入ってからは(90小節目以降)音楽が一段と豊かで実りあるものになっていたように感じます。第3楽章はクラリネット、ホルンなどの管楽器の活躍の光っており、オケ全体としても音色がよく調和した名演となっていました。そして第4楽章。序奏前半の嵐と後半(30小節目以降)のホルンによる牧歌的なテーマ、トロンボーンのコラールの崇高さ、いずれもブラームス版《田園》ともいうべきものですが、小泉さんによるテンポ設定、展開は模範的といえましょう。こうした深い呼吸による序奏を経て、主部へと入っていくわけですが、弦楽合奏で提示されるテーマの荘厳さには鳥肌が立ちました。この場面の大きな成功要因としては、ヴィオラを指揮者右手の崖に配置したことでしょう。また、このテーマが高揚したのち序奏後半のトロンボーンによるコラールの主題がフルートとホルンの掛け合いで提示される部分(114小節目以降)のナチュラルさも特筆もの。そして、279小節目のトゥッティによる最高潮でぐっとテンポを落とす持って行き方は個人的な理想とぴたりと一致していました。391小節目以降のコーダの爆発は非常になだらかでありながらオケ全体が鳴りきっており、迫力に不足無し。序奏のトロンボーンのコラール再現(407小節目)ではまたしてもテンポを落とし、非常に高らかに回想している小泉さんの解釈がこれまた理想的でした。再現部後半からコーダにかけて、一段とギアが上がってきており、僕も胸がどきどきしてしまいました。最後のきりっとした〆も実に格好良かった。ブラヴィーです。なお、今回僕はP席に座っており、小泉マエストロの指揮姿を真向いから拝むことができたのは大収穫、また名フィルの演奏姿を間近で見、その自発性や巧さを味わえたことも大変幸運でありました。

プロイセン

名フィル東京公演。金曜土曜と2回の定期演奏会を開催してからの来京とのこと。曲目はブラームスの4番1番で、私の大好きなプログラム、期待が高まらないはずがない。

お恥ずかしながら名フィルは今回が初めて。名古屋から好評を聞いていて、どのようなオーケストラなのかと興味を持って聴いた。

ブラームス4番冒頭から、小泉/名フィルのコンビがいかに名コンビであるかを物語っていた。出だしのH音が控えめに、それでもしっかりと聴こえてきたのである。よくバラけたり音程をずり上げたりみたいな演奏を聴くが、そのようないい加減さとは無縁なのである。
弦楽アンサンブルがどこまでも安定しているため、曲の造形に揺らぎがない。7本のコントラバスが土台を確保し、ヴィオラが適切な音量で鳴るため、その上でヴァイオリンや木管が生き生きと演奏できる。
1楽章の熱量、3楽章のトライアングル、4楽章のFlソロにはいたく感銘を受けた、どれも素晴らしいのである。

4番だけでかなり満足したが、さらに気合いの入った1番が後半に演奏された。
速めのテンポで生き生きと1楽章からこなしていく。どこまでも完璧で、目立ったミスもない。2楽章や4楽章序奏のソロはどれも目を見張る活躍ぶりである。
4楽章主部も熱い。強烈な熱量を持ってコーダまで突き進み、壮大なクライマックスを築く。それは名古屋城の天守のごとく仰ぎ見るものであった。
終わらないで欲しいと何度願ったことだろうか。控えめに言って名演である。
小泉の手が降りるのを待ってから割れんばかりの拍手。我々は大喝采をこの素晴らしいコンビに贈った。ちらほらとブラボータオルを掲げる人も見受けられた。

オーケストラがはけても拍手は収まらない。全く儀礼的なのとは無縁な小泉のソロカーテンコールとなった。私は立ち上がって、この名演を生み出した立役者に目一杯の拍手をおくった。

熱量が尋常ではないこの演奏、小泉は一昨年の神奈川フィルでもとんでもない熱量で幻想交響曲の圧倒的な演奏を繰り広げて大喝采を浴びたが、今回はそれ以上であった。
小泉/名フィルの今後の活躍に目を向けたい。

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