第5回東京国際音楽祭スーパーワールドオーケストラ「ハイティンク&キョンファ ブラームスの夕べ」
photo credit: Hiroyuki Tsuruno

第5回東京国際音楽祭スーパーワールドオーケストラ「ハイティンク&キョンファ ブラームスの夕べ」

2003年7月14日(月)サントリーホールにて開催、第5回東京国際音楽祭スーパーワールドオーケストラ「ハイティンク&キョンファ ブラームスの夕べ」の公演記録とレビュー/コメントのアーカイブページです。

公演日(初日) 2003年7月14日(月) 19時00分開演
会場 サントリーホール
出演 指揮:ベルナルト・ハイティンク
ヴァイオリン:チョン・キョンファ
管弦楽:スーパーワールドオーケストラ
演目 ブラームス:大学祝典序曲 ハ短調 op.80
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.77
ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 op.68
参照サイト https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/archive/det.html?data_id=9925

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すぎだま🐔クラレビの中の人
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ハイティンクが亡くなったそう。
私が唯一行ったこの公演。個人日記サイトでつたない感想を書いていたので、改めてこちらに書こうと思います。

すぎだま🐔クラレビの中の人

このレビューは、2003年7月に私の個人サイトに書いたものを一部校訂して再掲いたします。当時の私のクラシック音楽の聞き方となっておりますので、あらかじめ含めおきください。
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コンサート前の腹ごしらえとして、同行者がカラヤン広場のアンデルセンで品物をオーダーをしたところ、キッチンがわらわらしてて一向に通らず、イライラしたあげくにキャンセル。しかしなんと列の後ろには、本日のヴァイオリニスト、キョンファの弟、ミョンフンがいて、彼も怒っていたらしい。

イープラスで結構最近まで席が残っていましたが、あけてみれば8割方は埋まってました。テレビカメラも入っていたし、TBSが主催のひとつだからでしょうか。

スーパーワールドオーケストラは、世界の名だたるオーケストラの首席奏者や、ほぼ首席に近い演奏者で構成される世界最強のオーケストラ。巧くない筈がないんで聴くには安心だけど、いわゆる寄せ集め集団であることには変わりないので、どうしても聴きに行きたいというほどのものではありませんでした。

しかし今回は、大好きなハイティンクを初めて観聴きすることもできるし、やっぱりキョンファのブラームスは聴いておきたく足を運びました。

でも、ごめんなさい!凄いです、このオケ。
昨年私は行けなかった、ミッコ・フランク指揮のチャイコフスキーの夕べは、行った同行者は、「それほどでもない」ってところらしく、
やっぱり寄せ集めのフェス集団はだめだね
なんて言ってたんです。

しかししかし。大学祝典序曲から、
すごい、弦の厚み!
彼も、
こんなに立派だったとは!
と驚きの様子でした。

キョンファのブラコンは、さすがでした。
パフォーマンスはこの前と比べれば大人しいものの、円熟期に入ったいい枯れ方。もう若い頃のようにぎゃいんぎゃいんしてません。

彼女からしてみればハイティンクの遅いテンポながらも、貫禄の熱さで、でも第1楽章のカデンツァあとの、上昇音階は愛に満ち足りた浮遊感がたまりませんでした。

ハイティンクの指揮ぶりは、とにかく、何もしない。棒は熱いは熱く、淡々としているのではないけど、こけおどしのようなことはしないし、いやらしくすることもない。
キョンファと競演したときのミョンフンのように、一緒に熱くなってしまうって感じでなくて、我関せずで自分のスタイルで進んでいく。
なので、彼女はハイティンクに上手く導かれ、当然オケの方も抜群のアンサンブルをみせるのです。

とにかくアンサンブルの巧さは驚きです。それぞれの演奏者も、
じぶんがじぶんが
という感じでなくて、協調性と自発性がみられる演奏。白眉モノは、第2楽章冒頭の、オーボエのソロからなる管のアンサンブルで、ぞわぞわでした。

そしてここで私が感じたのは、ミョンフンが振った時のものと全然違うものであるということ。タテの線がはっきりしている。札幌で聴いたとき、メインプロのベト7に不満を感じた私は、これではっきりしました。
ミョンフンはタテの線をそろえるのが下手だ
マーラーやサン=サーンスなどではなくて、古典のにおいをさせているものでは、実力を違うところで見せているような。彼がオペラ指揮者であることにも頷けたのです。

キョンファのほうで少し残念だったのは、第1楽章カデンツァで少し音数をはしょったこと。第2楽章も少し枯れすぎで、やや衰えてきたかな、って思いました。
休憩後、キョンファはミョンフンと並んで会場でブラ1を聴いてました。ソリストが会場に残るのは初めて見ました。

ブラ1は、振り向きざま、ばーーんと音を鳴らし始め、堂々の出来。特にヴィオラの厚みは凄いもので、鳴る鳴る唸る唸る。ブラコン同様、終始、自分のスタイル通りに、で、オケも絶対なる信頼の元に、素晴らしいバランスと技とアンサンブルで応えていました。

第4楽章のコーダにいたっては、曲自体がこれこそ交響曲!なのですが、しびれるほどの統率感。よくこのあたりでは、急ブレーキをかけたり突然のアッチェラランドで度肝を抜かしてやろうという魂胆見え見えの解釈が多いのですが、なにもない。なにもないけど凄いのって凄いです。

久々のブラーヴォもの。マイクにもちゃんと入ったのではないかと思います。

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上記の中で書いている「前回」や「ミョンフン」とは
チョン・ミョンフン指揮ローマ・サンタチェチーリア国立アカデミー管弦楽団《チョン・ミョンフン/チョン・キョンファ 夢の姉弟共演実現!》
のことを指しています。
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ベルナルト・ハイティンクの冥福をお祈りします。

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