サロネン&マーラー室内管弦楽団 2015年北京公演

サロネン&マーラー室内管弦楽団 2015年北京公演

2015年10月10日(土)北京音楽庁にて開催、サロネン&マーラー室内管弦楽団 2015年北京公演の公演記録とレビュー/コメントのアーカイブページです。

公演日(初日) 2015年10月10日(土) 19時30分開演
会場 北京音楽庁
出演 指揮:エサ=ペッカ・サロネン
ヴァイオリン:レティシア・モレノ
チェロ:アンッシ・カルットゥネン
管弦楽:マーラー室内管弦楽団
演目 シベリウス:「ペレアスとメリザンド」組曲
リンドベルイ:ヴァイオリン協奏曲
エサ=ペッカ・サロネン:チェロとアンサンブルのための「マニア」
シベリウス:交響曲第7番
参照サイト
Salonen in Asia - 10th October, 2015
mahlerchamber.com

この公演に行きましたか?

0 0 評価
この公演の評価
ウォッチする
通知
guest
レビューを投稿する前に確認してほしいことです

1 レビュー
古い順
新しい順 最高評価
コメント数
すべて表示
耳澄(みみすまし)

以下当時の私の日記からの自由な引用

2015年生誕150周年を迎えたフィンランドの巨匠が残した最後の交響曲は、私にとって最愛の曲のひとつであり終生この曲とは相対したいと思っています。 
ここ北京の演奏会の環境を考えるとこの繊細な交響曲を接するには自分はとってもセンシティブだと思ったのですが、なにしろエサ=ペッカ・サロネンという素晴らしい指揮者が意欲的なオケで知られるマーラー室内管弦団を率いてシベリウスの祝年を祝う演奏会を開くというのであれば、多少の障害は目を瞑っていいように思えましたしあの7番交響曲の音楽に集中さえすれば北京っ子の挙動などは霧散するのだと言い聞かせました。 

はたしてその演奏会は素晴らしかった。 
それはひとえに、サロネンとマーラー室内の曲に対する深い理解と共感から導かれた尋常ならざる集中力、それが僕の心を揺さぶったとしか言いようがありません。 
その前に、初めて接したシベリウスの「ペレアスとメリザンド」の楽曲の素晴らしさにはひとこと言及せざるをえません。 
あの透明感と不思議な転調を繰り返す響きは紛れもないシベリウスながら、このメーテルリンクの物語をなぞる劇性豊かな感興は時に抽象性が勝る交響曲にはない親和性があり、最後の「メリザンドの死」におけるサロネンの入念にして集中度の高い衰退の音楽は余韻ある劇を見届けた深い感慨を受けました。 

7番交響曲は、スコアに表示された速度指示をある意味忠実に、ある意味極端に解釈したような緩急の落差を大きくとった演奏だったのですが、それが人為的なデフォルメになるのではなく、楽団員との一致した呼吸によって大きな潮の満ち引きのようなうねりとして描いたことにより、自然な呼吸を勝ち得た演奏になったのです。 
それはもはやスコアに書かれざるものを読み取る行為であり、こうした曲の深い理解を集中して描くことでこの曲が持つ気宇壮大な情感が見事に再現できたように思えます。
冒頭アダージョでのトロンボーンが導くあの感動的な音楽へと達するまでの丁寧に感情を積み上げてゆく様はもう滂沱するしかないもので、同様に最後のアッフェトゥオーソも、まさに「万感をこめて」どの楽器もハ音(C音)へと積み重ねていきそれが大きく膨らんだ瞬間にホールへと解き放たれて終わるのでした。 
全てにおいて、奏でる人間の深い呼吸が息づいているからこそこのような抱擁の音楽が生まれたのであり、それに抱かれた我々が心乱れないはずはない。 

こんな幸せこそ永遠に留めたい。

耳澄(みみすまし)により、3 年間 前に最終更新されました

カテゴリー

ジャンル

1
0
レビューを書いてみませんか?登録は不要です。x