東京二期会オペラ劇場『タンホイザー』フランス国立ラン歌劇場との提携公演 《二期会創立70周年記念公演》

東京二期会オペラ劇場『タンホイザー』フランス国立ラン歌劇場との提携公演 《二期会創立70周年記念公演》

2021年2月17日(水)東京文化会館にて開催、東京二期会オペラ劇場『タンホイザー』フランス国立ラン歌劇場との提携公演 《二期会創立70周年記念公演》の公演記録とレビュー/コメントのアーカイブページです。

公演日(初日) 2021年2月17日(水)  17時00分開演
会場 東京文化会館
出演 指揮:セバスティアン・ヴァイグレ
原演出:キース・ウォーナー

ヘルマン:狩野賢一/長谷川顯
タンホイザー:片寄純也/芹澤佳通
ヴォルフラム:大沼徹/清水勇磨
ヴァルター:大川信之/高野二郎
ビーテロルフ:友清崇/近藤圭
ハインリヒ:菅野敦/高柳圭
ラインマル:河野鉄平/金子慧一
エリーザベト:田崎尚美/竹多倫子
ヴェーヌス:板波利加/池田香織
牧童:吉田桃子/牧野元美
4人の小姓:横森由衣、金治久美子、実川裕紀、長田惟子
合唱:二期会合唱団
管弦楽:読売日本交響楽団
演目 オペラ全3幕
日本語字幕付き原語(ドイツ語)上演
台本・作曲:リヒャルト・ワーグナー(パリ版準拠(一部ドレスデン版を使用)にて上演)

公演日:
2021年2月17日(水)17:00
18日(木)14:00
20日(土)14:00
21日(日)14:00  

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耳澄(みみすまし)

2月20日(土曜日)14時開演の公演3日目
1幕・2幕であたかも母親のようにふるまうヴェーヌスが見守る中で子役が駆けまわったり、時代を超越した装置のような逆円錐状のオブジェなど舞台にはいくつも伏線が張られていましたが、結果的にはそのオブジェの先が緑色に染まるように、「枯れた杖に若い緑の芽が吹く」が体現されて、タンホイザーはオブジェを梯子のように登ることで昇天しさらにエリザベートが迎い入れるというト書きをなぞるキース・ウォーナーの演出には、あのトウキョウ・リングを見届けた者として正直拍子抜けしました。

エリザベートに相手にされないヴォルフラムの孤独と絶望のクローズアップ、黒と赤の衣装で統一されたヴァルトブルクの全体主義・ホモソーシャルな描写、対する女性たちの19世紀的夫人=母を思わせる統一的な白いドレス、そして自己犠牲による聖化的な死ではなく絶望の果ての自死をするエリザベート(3幕では通常登場しない領主ヘルマンが棺桶に縋っている)

こうした細かい描写には納得する一方で、例の子役が一体誰で、なぜヴェーヌスがそれを温かく見守るのか(最も納得できる解釈はタンホイザーの子供時代)、オブジェが果たす役割(特に1幕の子役が書き物をしている頭上に降りてくる下り)も判然とせず、特に子役については回収しきれていないように思いました。

音楽面。主題役の片寄純也は1幕がかなり不安定でぶらさがり気味でかなり心配しましたが、2幕以降持ち直した感じでローマ語りも迫真的な歌を聞けましたが、演技はやや固いと思いました。むしろヴォルフラム役の大沼徹のほうがこの悲しい役をクローズアップする演出と相まって歌唱も演技も映えていたように思います。

また女性陣の健闘も印象的で、第一にエリザベートの田崎尚美。2幕の歌の殿堂はもちろん2幕後半のタンホイザーを擁護する下りなど大変よく聴かせてくれたと思います。
またヴェーヌスの板波利加もパリ版によって拡大した彼女の官能的な歌を存在感もって歌っていたと思います。

ほぼパリ版を忠実に再現していた今回の公演(2幕後半のタンホイザーの懇願と同時進行する重唱・合唱部分のみカット)を指揮したヴァイグレは、1幕の慎重でむっつりした表情であのパリ版の官能的な音楽もそして幕切れに向けた音楽もうまく流れず正直私は頭を抱えましたが、2幕以降は見事に復調してオペラティックな感興をもたらせてくれたと思います。
読響もワーグナーを堪能するに足る充実した響きで応えてくれましたし、何より三澤洋史率いる合唱の素晴らしさ!
彼らの美しい合唱の存在が音楽を一層引き締めてくれたと思います。

耳澄(みみすまし)により、5 年間 前に最終更新されました
すぎだま🐔クラレビの中の人

2月20日の公演に行きました。
キース・ウォーナー演出ものは新国のトーキョー・リングで体験して度肝を抜かれた記憶が鮮明にあって、今回のタンホイザーも、なにかやってくれる、と大いに期待していました。

正直、”がっかり”でした。

トーキョー・リングでもそうでしたが、氏の演出は基本的にはト書き通りなのですが、対象を抽象的世界に置き換えたり、意識の中に投影されるアンバランスを、”装置”で突き刺す大胆さがあります。

今回は江の島シーキャンドルに似た逆円錐装置で、何を表したかったのかが中途半端でした。結局、最終場面で”若葉”が芽吹いていくという、これまた超ト書き通りにまとめてしまったには、「これだけ?」という感想しかありませんでした。

映画「シックスセンス」での M・ナイト・シャマラン監督の今後の作品に大いに期待していたように、「そんなに簡単には傑作は生まれない」というところでしょうか。

オケと歌手については、まあまあの点数です。
1幕でのオケの不完全燃焼感は幕を重ねるにつれて解消されてはいきました。歌手陣は、タンホイザー役の片寄純也氏は力不足。1幕は特に歌唱も舞台演技もだめだめで、まあなんとか最後までよくもった、というところ。

そんな中で女性陣は立派でした。エリーザベト役田崎尚美氏は、この役を愛しているなと感じました。

朝ドラ「おちょやん」で、師匠・千鳥が二度目の登場の時に千代に言い放った、「見る相手が違う! 演じるということは役を、愛した、時間、そのもの! 基本中の基本。そんなことも分からないなら、あなたたち全員、役者、失格!」というせりふ。
オペラ歌手もそうであるはず。歌手であり役者であるのだから、役を”愛して”ほしい。片寄純也氏にはそれが全く感じられず、田崎尚美氏、ヴェーヌスの板波利加氏にはそれが大いに感じられたのです。

コロナ禍でワーグナーオペラを実施した関係各位には感謝と敬服しますが、もっと頑張ってほしいと苦言を述べた次第です。

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