地方都市オーケストラ・フェスティバル2001 群馬交響楽団
photo credit: Hiroyuki Tsuruno

地方都市オーケストラ・フェスティバル2001 群馬交響楽団

2001年3月20日(火)すみだトリフォニーホールにて開催、地方都市オーケストラ・フェスティバル2001 群馬交響楽団の公演記録とレビュー/コメントのアーカイブページです。

公演日(初日) 2001年3月20日(火)
会場 すみだトリフォニーホール
出演 指揮:高関健
管弦楽:群馬交響楽団
演目 ブルックナー:交響曲第5番変ロ長調(ハース版)

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すぎだま🐔クラレビの中の人

初ブルックナー、初すみだトリフォニーホール。
トリフォニーって変なホールですね。今日は3階席なので、エレベーターがあったのは嬉しかったけど、席である2列の最寄の出入り口扉まではもうひとつ階段を上らないといけない。外観はゆったり感があるけど、中の通路とかは結構ちゃちくって狭い。
客席に入って気づいたのは、なんか錯覚に陥りそうな内装。1階席はなんとなくステージ側から下のほうに傾斜しているようだし。3階正面なのに何気にステージを真上から見下ろすような感じだし。ちょっと変。でもまあ真正面に視野のうちにオケ全体が入るからいい感じではあるけど、うーむ。

群響の高関さんも初めて聴く。ぱっと見ると島田洋七?って感じの、年齢不詳の風体。髪型もマッシュルームで、当世珍しいその風貌。しかし、指揮界では非常に評判が高く、その音楽性、構成力は若きマエストロの貫禄は十分にあるらしい。
今日の演目はとても緻密な品で、ひとつひとつこつこつと積み重ねるその作風から、楽器の配置も大変興味深いところ。ってなわけで見てみると、第一ヴァイオリンと第二ヴァイオリンが左右に振り分けられ、その内側に左からチェロ、ヴィオラと続く。管楽器連中は二列にきちんとその後方に並び、ホルンとトランペットを左右に分け、その後ろにコントラバスが7本立つ。初めて体験する配置。こうすると音の積み重ねがとにかくよく分かるという。

3時5分。高関さん参上。拍手の大きさから、聴衆の期待度が分かる。

第一楽章。緩やかなピチカートが終わったと思ったらすぐに大絶叫。その後はいろんな形をした主題が印象的に出てきては消え消えてはまた出てくる。
そしてブルックナーの特徴である、ひとつのフレーズの塊が終わると休止が入ることで、緊張感この上ないのだなこれが。びしっっと音の出が決まるとかっちょくて、だからそのお休みの無音の最中に鼻を鳴らすわけにはいかないのです。この時期、マスクは必須です。フリスクもあるとなおよいでしょう。
ティンパニがおいしいファンファーレが気持ちよく決まって、第二楽章へ。
このアダージョはとても美しい。ただし、長い。
第三楽章も結構きつい。どこか牧歌的であり哀愁を帯びた、舞踊的メロディーがしつこいくらいで面白いけど、やっぱ長い。伸びをしている人もいたし、軽やかな鼾も。。。

第四楽章。フィナーレ。
ここまで来て気づくのは、第一第二第四楽章の出だしが、ほぼ一緒のイメージなのですね。弱低音のピチカートが落ちていく。しかしながらフィナーレは、クラリネットがへんてこなフレーズを奏でてさまざまな主題を中断させちゃう。弦はあっちこっちから聴こえて来て、この楽器配置が一番効果的になる場面で面白い。でもやっぱ長い。20分間そんなことの繰り返し。
でもそれが終わると突然のようにコーダがはじまって、金管が大爆発。これを機に今までぼんくらしていた多くの方がむっくりとからだを起こしてくる。それはよく分かる気持ち。
だって、正直言っちゃうと、この曲は今まで70分近い部分は、これからの5分程度の大コラールの前奏曲な面があるんですもの。緻密な構成で築きあげられた大伽藍建造物の頂に、黄金の鳳凰を乗せるがごとくの立派さは、はじめからじっくり聴いて来ないとその本質を味わえないのだろうけど、疲れちゃう。だからそういう聴き方もいいけど、鼾は止めにしてください、後ろのおばさん。

では自分は?というと、このコラールで涙が出てきてしまいました。とにかく荘厳で宇宙で永遠で天上で。ついにここまで来たか、と思うと、ホールが変だとか高関さんの髪型はどうにかならないのかとか、ブルックナーはビールばかり飲んでた変人だったのかなんかどうでもよくて、自分と世界が自然と浄化されていくようで、うるうるしてきてしまったのですよ。
予習CDであるヨッフム指揮と違って、終曲の扱いがもったいなくなくて、イヤらしくなかったのが感激でした。

総評。
少し遅めのテンポでオケを相当締め上げた演奏で、高関さんの統率力が十分発揮された名演でした。若干オーボエさんに難点があるものの、トランペットさんがとにかく上手くて、それは終演後の彼に対する拍手の大きさでも明らかでした。
いずれにしてもやっぱりブラヴォーであり、群響は大好きなオケなのです。

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