東京交響楽団第475回定期演奏会
photo credit: Hiroyuki Tsuruno

東京交響楽団第475回定期演奏会

2000年11月11日(土)サントリーホールにて開催、東京交響楽団第475回定期演奏会の公演記録とレビュー/コメントのアーカイブページです。

公演日(初日) 2000年11月11日(土) 18時00分開演
会場 サントリーホール
出演 指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
フルート:エマニュエル・パユ
管弦楽:東京交響楽団
演目 ヒンデミット:ウェーバーの主題による交響的変容
モーツァルト:フルート協奏曲 ト長調 K313(285c)
ショスタコーヴィチ: 交響曲第6番口短調 op.54

この公演に行きましたか?

レビュー以外のコメントも大歓迎!緑のアイコンをクリックしてお寄せください➤
0
コメントをどうぞx

0 0 評価
この公演の評価
ウォッチする
通知
guest
レビューを投稿する前に確認してほしいことです

1 レビュー
古い順
新しい順 最高評価
コメント数
すべて表示
すぎだま🐔クラレビの中の人

指揮者ヤルヴィ氏は、フィンランドの南、エストニア生まれのたぶん39歳。父ネーメは偉大なる指揮者で、兄弟も音楽界で活躍している、音楽一家の長男です。今年6月に、ベルリン・フィルの定期演奏会を指揮し、2001年9月から、シンシナティ交響楽団の音楽監督に就任する予定。バーンスタインの流れを受け、ダイナミックでメリハリの効いた振りで今後が期待されている、とのこと。日本へは1998年10月の定期で来て以来だそうです。

拍手に迎えられ、会場に挨拶しオケのほうに向くと、間髪入れずに、まずウェーバーの主題による交響的変容。
おっとびっくりです。ヴァイオリンがとてもいい響きを出してる。フルートさんクラリネットさん、初っ端から全開です。アインザッツがビシバシ決まって、音の厚みもあってグレイト。ショスタコの出来に胸わくわくです。
終楽章のフィナーレは、まるで映画音楽のようで、超かっこよくて。やっぱり東響は侮れない、と思ったのでした。

ベルリン・フィルの元首席フルーティスト、エマニュエル・パユ様が登場の、モーツァルトのフルート協奏曲第1番。
寂しいくらいの刈り込み具合で、管楽器さんエリアにはポツねんとフルートさんオーボエさんホルンさんが残ってるだけ。後ろ2列は椅子のみが並ぶだけでした。30歳の色男パユ様が颯爽と登場し、演奏が始まりました。
課題予習として彼のCDを聴いていたのですが、やっぱ生はちがう。とても丸いんです、音色が。生だから右向いたり左向いたりするから、その点も録音では知り得ない、まさに生の醍醐味。
協奏曲にありがちな、オケの不完全燃焼は微塵も感じられず、まさに協奏してるといった感じで、ひとつひとつの音を大切に奏でている、やっぱりまじめな演奏でした。アンコールで、アンデルセンのエチュード作品15-3。

ショスタコーヴィチの交響曲第6番。
ヒンデミットでいい予感がしたので、どきどきで出だしを待っていたのですが、
「おいおい、チェロとコントラバス。こんなの聴いた事ない」
と唸ってしまう、重厚でどっしりとしたオープニング。
フルートさんなんか、
「ええ?録音だからできる大音量だったんじゃないの?」
とわが耳を疑ったくらい、爆発爆発。クラリネットもホルンもしかり。緩徐楽章である第一楽章にしてこの有様。この時点で腰砕けです。心臓ばくばくです。
消え入るように終わって行く一楽章。すでに何も音がないのに、ヤルヴィ氏は棒を下ろさない。この緊張感がとても効いていて、完全に聴く側を引き付けちゃいました。

軽快な二楽章、といわれてるけど、軽快なんかじゃない。シロフォン(木琴)がめちゃカッコよくて、スネアドラムが爆発を助長して、またまた心臓ばくばく。

どうにでもしてください、な具合で続けざまに終楽章がはじまると、もう出るのはため息と苦笑。自分の心臓の鼓動で、席が揺れるのを感じたもの。
これでもかという大絶叫と畳み込みと追い込みと疾走で突っ走って、コーダなんかもう、まくるまくる煽る煽る。ヤルヴィ氏、指揮台から走って出ちゃうんじゃないかしら、って心配してしまうほど。
これ以上の感激があるだろうか。
「ブラボー!!!」
と、吼えてしまった。拍手は鳴り止まず。

とにかくなんていうのか、彼、ヤルヴィ氏の、完璧なる統率力。一部の乱れもない全楽器の把握と大胆な構成力。完全に脱帽です。恐れ入りました。
それにオケ。どうしちゃったの、ここは。うま過ぎです。みんなよかった。弦も管も打も。既にヒンデミットの時から、皆さん体がゆれてましたね。のりのりって感じ。ヤルヴィマジックにかかったのか、それとも本領なのか。
ベルリオーズの時に、
「歴史に残る名演奏では?」
と唸ってしまった私だけど、今日はその上。断言します。
「歴史に残る名演奏でした」

アンコールは(定期なのに)、ステインハンマルのカンタータ「歌」より 間奏曲 でした。

最後に、オケ全員が、指揮者に拍手を贈っていたのが印象的でした。

カテゴリー

ジャンル

1
0
レビューを書いてみませんか?登録は不要です。x